「質問通告」について(なぜ具体的な通告が必要なのか)

なぜ具体的な質問通告が必要なのか、よくわかる動画がこちらです。下のほうの動画です。

 

 言論の府のはずが、まったく意味のないやりとりになっています。「森羅万象をつかさどっているんでしょ?」という、嫌味にさえ達しない毒を吐くのが目的だったのでしょうか…税金と時間の無駄づかいです。

 これを素材にして考えてみましょう。
 森議員の「内外の諸情勢と平成31年度予算について」という通告(というか、無通告に等しいんだけど)に対し、国民の代表者たる議員と大臣、副大臣等が実質のある議論をするためには

① 内外の諸情勢に関わる全省庁(関わらない省庁なんてありませんw)の全関係者が、

② 内外の諸情勢に関わ るあらゆる問題について、

③ 想定問答を練り、委員会前の短時間の朝レクで偉い大臣たちがすんなり理解できるような言い回しを考え、「簡潔しかし十分でしかも分かりやすいという神業のような手元資料」を作らなければならない、

④ また、大臣に説明する局長、課長にも事前のレクチャーをしておかなければならない。

⑤ こういうレクをやってれば、人によっては細かい質問も出ますから、そこから奇跡のような短時間で資料を入手し、事実関係を調べ、またまた「簡潔しかし十分でしかも分かりやすいという神業のような資料」を作らなければならない、

ということになります。

 実際にはそんなの無理ですから、以前は政府委員(局長級、ときに課長級)が多くの答弁を担い、基本的な方針等について大臣が答えていたのですが、森ゆうこ氏の師である小沢一郎氏の肝煎りで、政府委員制度を廃止して政治家同士(議員と大臣、副大臣大臣政務官)で骨太の議論をしようということになりました。その結果として、政治家同士の議論の実を挙げるために具体的な質問項目の通告が行われているのです。

 森議員のように、「森羅万象、何でもすぐ答えろ」式の質問を大臣たちに投げ、ミスを誘ったり、揚げ足をとったりすることは、志高き政治改革の趣旨を汚すものだと思います。

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 ところで、私はもう十数年前に行政官の世界から足を洗って、あまり近づかないようにしている人間ですから、このブログに書いていることは情報として古くなっている可能性があります。「最近は、こうなっていますよ」といったフレッシュな情報がありましたら、コメ欄で教えていただけると幸いです。